最後に結論、守ること、 大事なこと。 窒素計算の細かい仕組みをまとめて紹介します。
ダイコンの表示時間、何を表してるの?
ダイビングコンピューターに表示される時間、NDL無限圧限界時間。
体の中に窒素がいっぱいになるまでの時間、それを少し詳しく。
ある組織に100%窒素が溜まったときに、減圧停止をしないで浮上をしたら減圧症になります。減圧停止が必要にならないで潜れる時間が、NDL無限圧限界時間。オープンウォーターではこんな感じで習いますが、ここではもう少し踏み込みます。
ダイコンに表示されているNDL。
体の【どこかの組織に100%溜まるまで●分】って意味です。
窒素の総合量ではありません。「どこかの」組織、1つだけ。
水深に応じて、ダイビングコンピューターが自動で組織を選択します。
注目するのは、速い~遅い組織のどれか一つで、時間を判断していること。
ダイコンが自動で組織を選択!
ダイビングコンピューターはNDLを表示するのに、
その場の水深に応じた1つの組織を自動選択して、時間が表示される仕組みになってます。
何で?ってお話しへ。
水深10m、NDLは【遅い組織】で計算
水深10mにいる時、
試しに【速い組織】で窒素計算をしてみましょう。
NDLが無限(潜水時間・無制限)となってしまう、使い物になりません。
水深10m【速い組織】で窒素を計算すると
水深10mなどの浅いところで、満タンまで「5分の組織」で考えてしまうと、
いつまでも、窒素が一杯になりません。排出が速すぎるのです。
水深10mにいて、制限時間が無限ってことはないですね。
遅い組織には窒素が溜まってる。
浅い水深で、【速い組織】を元に計算してしまうと、
使い物にならないデータが表示されてしまいます。
そのため、浅い場所では、遅い組織を元にして計算します。
水深30m、深い場所。【遅い組織】で計算すると
逆のパターン。
深い場所、遅い組織で考えてしまうと、使い物になりません。
深い場所は速い組織を元に計算します。
もし、【遅い組織】を元に計算したら、
速い組織が先に100%になっていても「あと80分」なんて表示出します。
ダイビングコンピューターとして、使い物にならないですね。
ダイコンは水深で、自動的に組織を選択
こんな理由から、
ダイビングコンピューターは、
速い~遅い組織の中から自動的に一つ選択して、それを元に計算しています。
ダイビングコンピューター、仕組みのまとめ
簡単な仕組み
- 窒素吸収が速い~遅い組織【仮想組織】を使う
- 速い~遅い組織の中から、水深に応じて選択された組織を元に計算
体組織の特徴
- 窒素吸収が速い組織は、抜けるもの速い
- 窒素吸収が遅い組織は、抜けるのも遅い
- 減圧症は、遅い組織が原因となることが多い
- ダイコンの指示を守っても、
遅い組織に窒素を溜め込みすぎると減圧症になる可能性がある
車での高所移動、お酒なども引き金に - 重篤な症状が起こりやすいのも、遅い組織が多い
ダイコンの仕組みが原因、おこる弊害リスト
- どれか1つの組織を「NDL▼分」と表示するため
どの程度体に窒素を溜めたか、全く認識できない - 危ない丸山さんの話、「あと20分」、田崎「あと5分」。
表示時間だけ比べても、危ないほう(減圧症の危険性)は分からない - 「NDL▼分」を信じてギリギリまで潜ると、体内に窒素を溜め込すぎる
- 浅い場所に戻るとNDLは長く表示される。
窒素が抜けた間隔になるが、実際は水深5mでも窒素を溜めてる組織がある
これがダイコンには表示されない
最後に、これが良い・まずい。補足
以前にお話した同じ内容も含まれますが、最後にまとめ。
とりあえず、これを意識してリスト。
何をしたら減圧症のリスクを減らせる?
- OWでやった模範潜水を心がける
水深は「初めに深く、徐々に浅く」
2本目以降「MAX水深を浅く」する - ダイコンが示す時間「あと▼分」は「 ▼ 分で窒素を溜めすぎ!」と捉える
「あと▼分大丈夫」ではない - 連続日数を潜るなら、控えめに
1日の本数が多いほど、連日潜るほど、体に窒素が溜まる
心配な時には「水深を浅く、時間を短く」 - 15m~21m程の中層に長時間いるダイビングは危ない(箱型潜水)
実はダイビング初めにDecoを出すより、こっちの方が危ない
中層に長く留まらない、減圧症リスクを減らす
15m~21m程の中層で長く留まるダイビングは、体に窒素溜めすぎます。
その水深は、速い~遅い全ての組織に窒素を溜めるのに、十分な水圧がある。
プラスして、NDLの表示時間がやや長いので、滞在時間が伸びがち。
心理的な理由もあって、体に窒素を沢山ためやすい水深です。
前ページの危険な丸山さん、こんなもぐり方をしてた。
18mで永遠と、 残り5分まで ベターっ。
水深18m、危険な丸山 vs 水深30m、田崎。
残り「あと5分」。
危険な丸山さん
危険な丸山さん。
彼が行ったこの日のダイビングは、全組織に窒素を溜め込む水深に長時間。
18m付近のNDLは長め、長時間滞在しがち。全身に窒素をため続けました。
このとき、ダイコンの表示時間は後5分。
田崎は30mまで行った。残り5分
田崎さんの水深は深い。速い組織にさっと窒素が溜まります。
当然NDLは短く表示される。遅い組織に溜め込む前に、浮上を始めるはず。
(しないとDecoでるよ。)
ただ、体の中には、それほど多くの窒素を溜め込んでいないのです。
このとき、ダイビングコンピューターの表示は同じ「あと5分」。
ちなみに、速い組織に溜まった窒素は抜けるのも速い。
もし、ダイビング初めに深いところでDecoを出しても、速い組織の窒素は早めに抜けるし、遅い組織にはそんなに溜め込んでいないので、危険性は低いのです。
(Decoは推奨されないよ)
ダイビングコンピューターの仕組みについては、これで終わり。
水分不足って意外と減圧症の原因になりやすいので、
ドライを着る人もちゃんと水分とってから潜ってね。
ダイビングコンピューター仕組み 全体リンク
▼さわり部分、適当に知りたい方向けLv.1
▼専門用語を使わず、少し詳しくLv.2~4