速い、遅い。違いは何だ? 仮想組織と窒素の関係。
窒素吸収が【速い・遅い】組織の違い、減圧症リスクを減らすために必要な知識。
をお話したいと思います。
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▼さわり部分、適当に知りたい方向けLv.1
▼専門用語を使わず、少し詳しくLv.2~4
吸収が【速い】組織=排出も速い
吸収が速いと、排出も早い。
肺の話で例えると、
潜行して初めに、窒素が「濃い空気」にふれるのは肺。
浮上して初めに、窒素が「薄い空気」にふれるのも肺。
吸収が速いと、同時に排出も速い理由。
速い組織の特徴。バケツに例える
窒素吸収が速いと、排出も早い。
抜けるのが速いから、浅くて圧力が少ないと窒素が満タンになりません。
例えば「5分で窒素が満タン」の速い組織。
浅いところではこんな感じで窒素が溜まらない。
出ていく水(窒素)が多くて、溜まらない。
排出が早くても、深ければ窒素が溜まります。
速い組織、を満タンにするには水圧が必要です。
吸収・排出が【速い】。
こんな特徴を抑えて、遅い組織の話しへ。
窒素吸収が遅い組織=排出も遅い
速い組織の逆なので、吸収・排出、両方とも遅い。簡単。
【遅い組織】をバケツに例えて、特徴を。
深い場所でも、速い組織と比べると窒素吸収が遅い。
何度も言うけど、窒素吸収が遅い組織は、排出も遅い。
浅い場所でも窒素が溜まる原因に。
実は、5m安全停止中に窒素が溜まります。
安全停止中に、速い組織と遅い組織を比べてみましょう。
遅い組織は安全停止中でも、窒素が溜まる
安全停止中、多くの組織からは窒素が抜けます。
・・・が、遅い組織には窒素が溜まるのです。
排出が遅いと、浅いとこでも窒素を溜め込み続けます。
少しづーつ、 少しづーつ 、窒素が溜まります。
じわーっとしみこみ続けるイメージ。
安全停止って、窒素が抜けるって教わったはず。
安全停止で、窒素を溜める組織がある。
これはダイビングコンピューターには表示されません。
水面下に潜れば、窒素吸収が遅い組織は、ずーーーーっと窒素を溜めてます。
浅くてもです。
知らないと、浅い場所なら大丈夫でしょ?みたいなことで減圧症になる事があります。
(よほど特殊な潜水をしなければ、大丈夫なことが多いですが・・・。
とある撮影の為、1週間近く、5m程の場所に半日以上潜り続けたダイバー。撮影の最後に船のイカリが引っかかっているのを取るため、水深7-9mに入って浮上。それで減圧症になったことがあるらしいです。)
重度の減圧症の引き金になりやすいのは、窒素吸収が遅い組織です。
模範潜水を行った場合の窒素を見てみる
ちょいとブレイク、全然違う話を挟む。
とある日の模範潜水でダイビング、窒素をイメージ化。
ダイビングを終えると、大体こんなグラフになります。(やや適当に書いてます)
減圧症を考える時に重要なのは2つ。
- 全体の窒素
- 遅い組織の窒素
この2つを知ることです。
次の話しへ。
まっ丸山ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
さてここで、丸山さんと、田崎さんが潜水してたので比べます。
分かり易い窒素グラフを書きました。
どちらが、減圧症の危険性が高いと思いますか?
さっきの2つ、①全体の窒素量、②遅い組織の窒素量を比べる。
両方、丸山さんのグラフが多いです。
圧倒的に窒素量が多い。
丸山さんが危ない!
丸山さんは、危ない丸山さんになりました。
ですが、ダイビングコンピューターはこんな表示を出してます。
ダイコンの表示時間は・・・?
ダイコンの表示時間はこれです。
どちらが危ない?
えー。
危ない丸山さんの方が、表示時間が長いのです。
窒素を沢山溜めているのに、さらに長い時間いたら危ないよ。
意味を知らずに、ダイコンの数字だけを見てると、こんなことが起こります。
NDLを確認できても、体に溶けた窒素の総量は分かりません。
表示時間を見ても危険性は全く分からない、のです。
心理的に、数字が見えると安全のように見える。
この違いがダイコンに表示されないため、
ダイコンの指示を守って減圧症になる人が増えたそうです。
丸山ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
こんなことを頭に入れておいて、一番最後のまとめへ。
これが起こる理由とか、気をつけることとか。
全部のまとめで、ダイコンの仕組みについての話を終わりにします。
ダイビングコンピューター仕組み、最後の記事へ